原爆Tシャツって正直言って不愉快なものではあるよね。不愉快だけど、それをどれだけ問題として取り上げるかは考える余地があると思う。おそらく当人は深く考えなかったのだろうし。
でも、世界のどこかの国のどこかの街に「放射状の模様」があるだけで、「旭日旗を連想させる」(旭日旗そのものではない)と国際問題にするお国柄だからね。お互いに「まあいいじゃないか」と言える関係ならまだしも、別に赤いわけでもない「放射模様」を世界中で排斥するようなお国柄の人が、原爆そのものをネタにするのは、こちらとしても神経質にならざるをえない。
原爆投下の歴史的背景や、特に今後防ぐための対策は最も大事な部分だけど、「使ったらどうなるか」の実例として当時の話も、それはそれで重要だと思う。「なぜ使ってはいけないのか」と考えたとき、「使ったらこんなふうになるから」という記憶は大切だよ。
ただ、原爆を使ったらいけないのは当然でも、原爆に焦点が集まりすぎて、たとえば東京大空襲の絨毯爆撃とか、ベトナム戦争の枯葉剤がかすむようなことがあってはならないと思う。
原爆と終戦が無関係とは言わないけど、原爆が戦争を終わらせたというのは、アメリカが核兵器使用を正当化するための宣伝だよ。
当時の日本は、石頭の軍部もさすがに敗戦は覚悟していて、ただ「少しでもマシな条件で講和したい」と考えていた。そこで、ソ連に仲介役を頼んでいた。ソ連とは日ソ中立条約を結んでいて、ソ連は日米戦争については中立してたから。
ところが、ソ連が条約を破って攻め込んできた。「少しでもマシな条件」というかすかな望みがそれで打ち砕かれて、もう何の望みもなくなった。降伏は、原爆よりもソ連の参戦がトドメだった。米軍を食い止める力さえ壊滅してるのに、北からソ連が来たらもう防ぐ手段が無い。
原爆は、第二次世界大戦後は米ソの対立になると読んだアメリカが、ソ連に対して優位に立つために力を見せつける目的で落としたことと、もうひとつは被爆が人体に与える影響を科学的に追跡調査するための人体実験でしかない。