【風刺っぽい童話】
※注:ふっと思いついただけで、私の思想を反映したものではありません。
働き者のアリは、秋のうちに一生懸命働いて、食べ物を集めて巣に運びました。
一方、遊び好きのキリギリスは、そんなアリを笑い者にしつつ、歌を歌い、毎日を楽しんで暮らしました。
「アリさんも、もっと楽しんで暮らせばいいのに、働いてばっかりでつまらなくないの?」
「キリギリスさん、今はそれでよくても、もうすぐ冬がきます。そうしたら食べ物に困ります。キリギリスさんも、今のうちから準備したほうがいいですよ」
「いや僕はそんなの嫌いでね、楽しんだほうが勝ちさ!」
やがて冬がきました。キリギリスは食べ物がなくなって、おなかをすかせてどうしようもなくなりました。
一方アリは、一生懸命たくわえた食糧で、冬を越せると思って安心していました。
「アリさん…お願いですから、食べ物をわけてください。もう、おなかがすいて死にそうです…」
「キリギリスさん、お気の毒ですがそれはできません。あれほど忠告したのに、あなたは働かずに遊んでばかりいました。その結果がこれなのです」
そんなある日、アリの巣に、スーツを着て銀縁の眼鏡を光らせた、上から目線の虫が現れました。
「私は昆虫税務署の者だ。アリは高額所得者であるから、相応の所得税を徴収する」
アリはせっせと働いてたくわえた食糧の半分を徴収されました。秋から働きづめで疲れ果て、しかも気を落としたアリは、それから間もなく過労死してしまいました。
一方、アリから徴収した税金は、生活困窮者であるキリギリスに分配され、キリギリスはどうにか冬を越すことができました。
春、暖かくなると、またキリギリスの楽しそうな歌声がひびきました。
これを称して人権といいます。
※これはあくまで思いつきの極論で、所得の再分配を否定する意見を持っているわけではありません。てか、この税務署員悪役すぎ。