https://news.yahoo.co.jp/articles/884d782dafa8dcd359258617094e93b1d020dadb
今回のトランプが横暴であることは世界が認めることだ。
いきなり一方的に関税を課してきて、それを軽減するために「土産」を要求する。誰が見ても理不尽な行いだ。
本来なら、こんな理不尽な要求を簡単に飲むべきではない。日本はアメリカにソッポを向かれると決定的に困るという弱点を抱えているので、タダで撤回を要求するのは無理だとしても、相手の思う壺にはまることなく粘り強い交渉を行って、「最小の土産」で関税の撤回あるいは軽減を勝ち取るべきである。
当然にしてそんな交渉が外交の基本である。
だが、トランプが理性よりも短絡的な感情に走る人物であるということは計算に入れる必要がある。
トランプは今、アメリカ国内でも批判が大きく、国際的にも孤立状態である。就任前にはあっという間にケリをつけると約束していたウクライナ和平も難航している。
そんな状況下で、トランプ自身が出席する会談で、日本がトップバッターということを考えると、トランプがここで必死に求めているのは「素早い成果」だ。今のトランプは立場が弱くなっているので、外交の正道を選ぶなら足元を見ることができる。
しかしトランプが多分に感情的な人間であり、下手をするとモウロクしかけているとあれば、むしろ焦って成果を求める「願い」を叶えること、手早く国内外にアピールさせることが、今後の対米外交をむしろ有利に進める鍵になると思う。
悪く言えば「抜け駆け」である。
日本の国内事情であまり気前よくはできないが、何かひとつでもトランプの喜ぶ「サプライズ」を用意したい。
本来あるべき外交とは真逆だが、この相手、そしてこの場面に限ってはそれが良いように思う。任期が間近ならそんなことはしないが、まだ始まったばかりなのだ。
ただこれは、「常識的に考えると悪手」である。それだけに日本国内で、国民が簡単に納得してくれそうにない奇策である。それが最大のハードルになる。
それでも、今のトランプが渇望している手っ取り早い妥結に至るかどうかは今後の日米関係を非常に大きく左右する。「粘り強く」と言ってだらだらするのは、普通なら良くても、この場合は恨みを残すだけだ。
トランプ相手には、スピーディーでシンプルな決着が良い。