https://news.yahoo.co.jp/articles/58e2ff544f5570cb2c0f53f839740d23ab537d79
(以下HOPE掲載と同じ文章)
トランプの方針は最初から変わってないと思う。
トランプが標的にしたいのは中国で、中国とロシアががっちり組んでいる現状では強敵すぎる。だから、ロシアをアメリカ側に引き込むことはさすがに無理でも、中国から少しでも引き剥がしたい。
現状、ロシアは欧米の経済制裁を受けて、中国への依存度を高めている。このままでは事実上中国の属国になってしまい、そうなれば中国が強くなりすぎる。一方のロシアも、中国に従属したくない。このままでは中国に生命線を握られてしまうので、米中に依存先を分散させる必要がある。
つまり、米中の対立構図の中で、中露を離間させることはアメリカの利益になり、米中に依存先を分散させることはロシアの利益になるということだ。
もちろん、今一番苦しいのはウクライナだが、トランプは真剣に助ける気はない。「ウクライナを救いたければ欧州でやってくれ」というところだろう。
中国がロシアを事実上属国化してさらに強大になるのは日本の国益にも反する。だから中露の離間はアメリカのみならず日本の利益にもなる。しかしながら、侵略戦争を放置して既成事実を認めることは、中国の野心を刺激する。中国が最も関心を持っているのは台湾侵攻したときにアメリカがどこまで本気で台湾を救うかだが、ウクライナのように見捨てる期待を膨らませることになる。
トランプの行動は日本に利益の面があると同時にリスクも伴う。利益というのは、台湾有事の際に中国に連携してロシアが日本の北海道を攻めるような素振りを見せた場合、本当に攻めないとしても、日本は西南に防衛力を集中できなくなる。中露の連携ができなくなればそうした危険が一定減らせる。その一方で、台湾有事自体が起きるリスクは高まるんじゃないだろうか。
もしも私が習近平の立場で台湾を攻めるつもりなら、トランプ大統領の任期終了前、大統領選挙前に実行する。中国の台湾侵攻はアメリカにとっても非常事態なので、トランプはそれを口実に大統領選挙を先延ばしするかもしれない。その口実を与えるためだ。トランプがそうすれば、アメリカの国内世論が決定的に賛否に分断するため台湾に対応できなくなる。
ロシアも、中国がアヘン戦争以来の失地を取り戻したいことは理解しているので、それを防ぐために中国の関心を南に逸らす必要があり、中国の作戦に協力する。中国はもちろんそのようにロシアを誘導する。中露ががっちり連携していたら友好的にロシアに協力を求めることができるし、中露が離間されていたら、「台湾がダメなら極東のロシア領を狙うぞ」という素振りでロシアの不安を強め、中国の矛先を南に向ける必要性を感じさせることができる。
それを止めるには、やはり中国に台湾侵攻の成功率が低いと思わせなければならない。それを優先するならまずウクライナでロシアを挫折させる必要があり、結論としてトランプのやり方は日本の国益に反する部分のほうが大きいだろう。