そのテンプレは私が子どもの頃からあったのでかなり古典的。
「お菓子をあげるからこっちおいで」は、昔の田舎には本当にお菓子をあげる人がいたんだよ。子どもが可愛いなーと思ったらお菓子をあげたりね。田舎じゃたいてい顔見知りだから、大人のほうはその子を知ってるけど、子どものほうはその大人を知らないこともある。
私も小さいころは近所の人とか父の仕事関係の人とかにお菓子をもらって、母の知らない間に食べてたらしい。もう覚えてないけど。
本当の善意でお菓子をあげるおじさん・おばさんが少なくなかったから、子どもも食べてた。私は「ついていく」ことまではなかったけど、「おじちゃんの家にお菓子食べにおいで」みたいなことって、普通に善意であったわけ。
だから、それが犯罪に使われてもおかしくないね。犯罪に使われるようになると、防犯のために親は「ついて行っちゃダメ」と教育する。
私が子どものころはネットなんて存在しなかったけど、アマチュア無線をやってる人は無線で友達を探して、そこからリアルの友達になったり文通をしたりすることがあった。手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』の中に「ハローCQ」ってお話がある。車椅子の少年が、アマチュア無線でニュージーランドに友達を作る。外国だからどうせバレないと思って、自分の足が悪いことを隠して、野球で活躍した話題なんかをデッチ上げてたわけ。で、その人から「一度会ってみたい」と言われて会うことになり、会えばウソがバレてしまう…さて困ったどうしよう、ってお話。
今ならそれって、ウソがバレる以前にセキュリティ的に危なくない?と言うだろうけど1970年代はあんま気にしてなかった。
話は違うけど昔「毒物コーラ事件」というのがあった。ある人が電話を使うために電話ボックスに入ったら、そこに開封済みのコーラが置いてあった。ちょうどノドがかわいていたので飲んだら、それに青酸カリか何か入ってたという事件。今なら、たまたま入った電話ボックスに置きっぱなしになってた開封済みのコーラを飲む人なんていないでしょ。昔はそれだけ警戒心がなかった。この事件以降、「置きっぱなしの飲食物は危険」と注意喚起されるようになった。
私は田舎育ちだから、同じ時期の都会よりも周囲の雰囲気が10年か20年は遅れてた感があって、おかげさまで昭和30年代レベルの経験ができたのかもしれない。今みたいに通信も交通も発達してないから都会と田舎の格差が大きかった。
話を戻して、実際に子どもにお菓子をくれるやさしいおじさんやおばさんが珍しくなかった以上、それを利用した犯罪者が出るのは自然な成り行きだったと思う。