南雲7 平成から令和へ

228南雲@お人好し
2019-08-22 20:34:03
ID:PBfamily

韓国が、日韓軍事情報協定(GSOMIA)を破棄してきた。

これは、北朝鮮のミサイル情報その他の軍事的な情報を日本と韓国で融通しあって共有するという協定だ。
日本も韓国もそれぞれアメリカと同盟していて、情報収集能力ではアメリカがズバ抜けて高く、日本も韓国もアメリカからの情報提供を受けているから、実質的に日韓間の情報共有への依存は両国ともに高くない。もちろん、日本近海で得られる日本の軍事情報を韓国が受け取ったり、逆に北朝鮮に地理的に近い利点で収集した韓国の情報を日本が受け取ったりができなくなることは、双方にとって損失がある。

しかし、情報量で言えば、日本が韓国に提供している内容のほうが多い。協定がなくなって情報的に困る度合いは韓国のほうが高い。

ただ、韓国もアメリカから情報を受けているので致命傷にはならない。実は、日米韓ともに最重要機密は他国に渡さないので、GSOMIAがあっても提供される情報には限りがあるから、それが無くなっても情報的な損失はさほどでもないと言われている。

それよりも、これは「日米韓」の実質的な三国同盟的な象徴としての意味合いが強い。直接的には北朝鮮情報が中心になるものの、日米韓三国「同盟」は、本当は中国を牽制する役割が大きい。アメリカの立場では、北朝鮮だけならアメリカ一国で対処できる問題だが、相手が中国となると、地理的に遠いアメリカは不利。そこで東アジアに「三国同盟」を作ってそのリーダーとして君臨することが、アメリカが中国を牽制する大きなカードになっている。

アメリカから見ると、日韓のGSOMIAは、「アメリカを中心とする三国同盟の象徴」として大きな意味があった。だから、アメリカは何度も何度も韓国の説得をしてきた。日韓が過去問題でゴタゴタしようとアメリカは関わり合いたくないが、米中の覇権闘争に影響するとなれば、他人事では済まなくなる。

今回、韓国がGSOMIAを破棄したことは、日本や韓国よりもアメリカに痛手が大きい。それは、リーダーが子分に裏切られたという、大ボスとしてのメンツを壊されたことであり、南シナ海問題などへも「アメリカの影響力低下」として波及しかねないからだ。きっと、中国は大喜びしているだろう。

GSOMIAの破棄が、「日本との喧嘩」を「アメリカとの喧嘩」にしてしまうことは、韓国も分からなかったわけではないはず。アメリカに必死に説得されたし、ギリギリまでどうするか悩んでいた様子だ。

もともと韓国は、アメリカにとって痛手が大きいGSOMIA破棄をチラつかせることによって、アメリカを日韓問題に巻き込んで、アメリカに日本を説得させるつもりだった。ところがアメリカは「韓国を怒らせるな」と日本をなだめるより、「GSOMIAを破棄するな」と直接韓国に圧力をかけるほうを選んだ。結局、破棄するぞという脅しが空振りに終わったので、脅しだけで引っ込むことができなくなって実行に移してしまった感じだろう。

脅しだけで引っ込めば、韓国国内の反日世論が、文在寅大統領への弱腰批判に変わって、政権が頼みとする左派支持層の土台が崩れかねない。文在寅政権は、親北反日の強硬的な左派に支えられているのだから、その左派に見放されるという選択はできなかったようだ。

結果的に韓国は、日本との喧嘩の最中にアメリカに喧嘩を売ったことになる。日本との喧嘩は、日韓基本条約という日韓の国交の根元をひっくり返すものだが、アメリカに売った喧嘩は、米中覇権闘争という、アメリカの未来への世界戦略をひっくり返す効果をもつ。

言うまでもなく、日本との喧嘩よりもアメリカとの喧嘩のほうがはるかに恐ろしい。特にトランプは何をしでかすか分からない。たったひとつ韓国が一縷の期待を寄せられるのは、「オバマのやったことは何でも否定するトランプ」だから、「オバマが日韓を説得して結ばせたGSOMIAが壊れても意に介さない」ことだろうが、アメリカが損することにかけては過剰反応するトランプでもある。

7月に日本が韓国をホワイト国から除外して以降、1ドル=1180ウォン台だったウォン相場が、一気に1220ウォンまで下落した。ところがその後、1210ウォンまで値を戻した。韓国が為替相場に介入してウォンを買い支えていることは誰もが知っている話だが、アメリカと喧嘩するとなれば、ウォンの下落圧力は対日問題の比ではなくなる。それを買い支えられるかどうか。仮に買い支えても、それは韓国の外貨準備を大幅に減少させることになるので、買い支えれば支えるほど下落の勢いが増すという悪循環になるかもしれない。

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