鎌倉13は最後の最後まで面白かった。
ラストシーンもいつもの大河と違う形で面白かったが、ネットで意外性への期待値がめちゃくちゃ高まっていたせいで、その割には普通っぽいと思った。義時に毒を盛ったのも「いかにもやりそうな人」だったし、最後の政子は「もう楽にしてあげたい」という思いだろう。死ぬ寸前まで次の殺しを企んでいた義時を「もうやらなくていいよ」と。地獄に落ちるにしても最後の罪からは解放される「蜘蛛の糸」を政子が与えたかったんだと思う。
ぽつりぽつりと笑えるシーンを混ぜるのはいいと思うけど、全体的にはギャグが多すぎた。重苦しい雰囲気ばかり続くからちょっとリラックスして笑えるシーンが必要という意図は十分わかるし、個々のシーンは素直に笑ったけど多用しすぎ。
とはいえ源平合戦からずーっとクライマックスなみに盛り上がり続けて、あれほど濃密で飽きないドラマはなかなかない。
義経が死ぬ前に、将来新田義貞が鎌倉を落としたのと同じ作戦を立てていて、それが義時を通じて梶原景時に伝わった場面があった。私はあれが何らかの形で新田氏に伝わっていて、それを義貞も知っていて使った…という展開を考えてたんだけどそれは無かったな。つまり新田義貞の作戦は義経が考案して伝えられていて、源氏が北条氏に復讐するために義貞が使った…そしてそれを伝えた一人に皮肉にも義時が関わっていた、という因果を考えたんだけど。
まあいろいろ展開の想像を膨らませてくれる面白いドラマだった。
ここ10年ほどで私が通して見た大河は『平清盛』、『麒麟がくる』、そして『鎌倉殿の13人』。どれも面白かったが、光秀が最後までいい人だった麒麟よりは主人公闇落ちの鎌倉が個人的には上。清盛はそういうのとは別に世界感が卓越していた。光秀も義時もその時その時の最善策を考えて、ある意味時代に翻弄された感じだったか、あの清盛は「時代という盤上で双六遊びをやり続けた」という意味では最強キャラだった。