運用というのは、個別具体的な問題に関して法令をどう適用していくか、警察なり役所なりの執行機関が裁量するっていうことかな。
たとえば軽犯罪法に該当することで、罰則規定があったとしても、実際にごく軽微な内容だと判断すれば警察は注意だけで終わらせることもある。杓子定規にならないように状況によって柔軟に使うという感じ。
虐待で親が捕まることはむしろ少ない。親を捕まえることが、被害者である子どもにとってプラスなのかマイナスなのかにもよる。身体的虐待で体にアザができたら、傷害罪にあたるけど、親が逮捕されるのはよほど重篤な場合であって、警察も立件しないことが多い。
ネグレクトの場合も、食事を与えないなど極めて悪質な場合は保護責任者遺棄などに問われる場合もあるけど、子どもを学校に通わせないだけで健康上の被害が生じない場合は、学校や市役所、場合によっては児童相談所が親を説得するのがせいぜいだと思う。
仮に一時保護をしたとしても、このケースではそこから先の見通しが立たない。子ども自身が学校に行くことを拒否していて、別に親が閉じ込めてる訳じゃないから、気長に説得する以外に方法がないだろう。親の意向に反して施設入所させるような強硬手段は、家裁に認められるとは思えないし。
生命の危険などは無いけど長期的な教育ネグレクトで、しかも全国的に有名になったナイーブなケースだから、要保護児童対策地域協議会の対象になってるかもしれない。
実情は知らないけど「黙認」されてはいないと思う。説得以外の方法がなくて、親子とも説得に応じない状態が延々と続いてるんじゃないかな。もしも黙認するのなら、黙認する理由(心理的な問題などで、登校刺激を与えることが望ましくないという判断)があるはず。
登校を促すと言っても実際には促し方の方法とか強弱がいろいろあるはず。文科省の原則は学校に通うこと。ただし無理やり通わせることでかえって状況を悪くしそうなケースは、個別対応することになる。個別対応は、子どもや家庭の状況が一人一人違うのだから、現場責任者である校長の判断で、ケースバイケースだろう。
早め早めに対処しろって言うけど、どんな対処をしろって言いたいの。学校に来なくていいよ、って放置することが対処? …まあそういう場合もあり得る。実際にあるのは、学校に行って校門に入ってからすぐに帰る(遅刻早退でも出席扱いにする)、1時間だけ保健室で保健の先生と面接して帰る、等々。あるいは、学校がどうしても無理ならフリースクールに通って、それを出席扱いにするなど。
全く家の中にいる状態でも仕方がない(ゼロ)から完全出席(100)までの中間にはいろんな選択肢があるから、個別ケースごとに、子どものメンタル面などを見ながら調整する。
…というのが理想論なんだけど、実際には親の許可を得て泣き叫ぶ子どもを無理やり学校に引きずってくる校長もいたりして、それがトラウマになってよけい状態が悪化するとか、適切に対処できてるとは思えないこともある。
校長の中には、平成をすっとばして昭和から令和にタイムスリップしたような「不登校は怠けだ、いじめに負けるな立ち向かえ」主義の星一徹みたいなオヤジが少数ながら生き残ってるからな…。