中華帝国の歴史は繰り返す。
創業→富国→拡大→縮小均衡→内部崩壊。
創業は、前漢の劉邦、唐の李淵、明の朱元璋、清のヌルハチ~順治帝。宋と元はパターン外(宋は非軍事的だし元はモンゴルだから)。
富国は、前漢の文帝~景帝、唐の太宗、明の永楽帝、清の康煕帝。
拡大は、前漢の武帝、唐の太宗(上と同じ)、明の永楽帝(上と同じ)、清の乾隆帝。
そして拡大が必ず重荷になって次は縮小均衡を図ろうとする。ところが縮小均衡に成功したのは前漢の宣帝くらいで、唐の玄宗は前半成功したけど後半失敗した。明と清は縮小を始めるとブレーキが利かなくなり、「中興の祖」といえる人物がいない。ちなみに後漢はスタート時点がすでに縮小均衡。
最後の内部崩壊は、前漢の王莽、後漢の黄巾の乱、唐の朱全忠、明の李自成。清の場合は内部より外国に壊された感じだけど内部的には太平天国あたりかな。孫文は清を壊したというより新国家を作った側面が大きい。
で、今の中国は、創業が毛沢東、富国が鄧小平、拡大が習近平といったところ。創業期のあと、勢いに乗っていきなり拡大せずに休息期間を置いてから拡大に舵を切ったところは、これまでは前漢や清のパターンに近い。
何が言いたいかというと、この拡大が重荷になった時、次の縮小均衡がうまくいくかということ。前漢では武帝で膨れすぎた帝国を宣帝がバランス感覚を持ってうまく均衡させた。でも清は乾隆帝の後は、ゆっくりではあるけど衰退一辺倒だった。
今の中国は露骨に拡大政策をとってるけど、これって破綻したら壊れるのが早そうな感じがする。つまり漢パターンでも清パターンでもない。唐パターンなら、習近平は太宗と玄宗を合体させた感じがする。つまり富国と拡大と崩壊(滅亡はしないけど安史の乱)までを一気に一人でいくのか。明パターンなら、景気よく外洋への拡大が終わったとたんに閉鎖的になることでそれなりの安定を保つのか。
昔と違って今は、アメリカとかの外国勢力が大きな変数になってるから、状況はかなり違うんだけど。でも今の中国の拡大は、大きな経済力と強力な軍事力を使ってはいるんだけど、武帝や乾隆帝のように国内に不安がない状態でやってるわけでもなく、かなりの無理を感じる。
なんか、中国じゃないけど豊臣秀吉の朝鮮出兵みたいな無茶ぶりなんだよねえ…。
秀吉は強権で国内を抑えていたけど、その国内はすでに壊れ始めていた。経済力と軍事力は圧倒的で、戦いには勝つんだけど、勝ったあとどう統治するのかっていう見通しが甘すぎた。しかも朝鮮の背後には斜陽ながら大帝国の明(万暦帝の時代)がある。今の習近平のやってることは、経済力と軍事力はあるんだけど国内は矛盾に満ちていてそれを強権で抑え込んで、拡大してるけど斜陽の超大国アメリカを敵に回してるんだよね。なんか秀吉っぽいんだよね。
うまくまとまらないけど、拡大が終わったとたんに壊れそうな脆さを感じる。きっと漢にはなれない。頑張って明や清。下手すると豊臣。