https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200117-00000027-kyodonews-int
こういうやり方は危険だ。
欧州は、冷戦時代と違ってアメリカの覇権維持に団結して協力する理由がない。冷戦時代のソ連は、欧州を共産化しようとしていたから、欧州はそれを恐れてアメリカと何が何でも協力する必要があった。しかし今はその恐れがない。経済的利益のために中国ともそこそこ付き合おうとするし、エネルギーを中東に依存するリスクを避けるためにロシアからも輸入しようとする。
そんな中、中東問題でアメリカが欧州に強要していると、欧州はますますアメリカ離れを起こす。アメリカから離れることで失った利益を、中国との関係で補填しようとする。それはアメリカの覇権を危うくする。通商ではアメリカ有利の協定を結べ、外交ではアメリカに全面協力しろ、安全保障ではもっと金を出せ、とすべての分野でわがままを望み、それをすべて脅しで通そうとすれば、欧州がアメリカから離れて行くだけだ。
アメリカの競争相手は中国。今は中国を抑えることに全力を尽くす必要がある。そして侮ってはいけないのがロシア。ロシアは経済力が弱いのに、思ったよりも軍事力と技術力をしぶとく維持している。経済力がなければこれらはいずれ衰えるが、地球温暖化で北極海に航路ができたらロシア経済が立ち直る。ユーラシア大陸の南方航路を中国が押さえて、北方航路をロシアが押さえたら、中露組が勝ってしまう。
中国は5G通信などで中期的には怖い相手だが、人口構造がいびつ過ぎる(「日本が言うな」と言われそうだが)ことから、中国の覇権は長くはもたないかもしれない。しかし、中国が衰えるころには、北極海を手にしたロシアが再び力をつけるかもしれない。トランプもそれを忘れてはいないから、グリーンランドを寄こせとかなんとか、デンマークに無茶を言ったのだろう。ロシアが復活する前に中国を押さえ込まないと手に負えなくなるぞ。
一方で協力しろと言うなら、別の何かで利益を与えなければ、味方が離れて行くだけだ。いくらアメリカが強くても、世界の利益を独り占めする力はないのだから。