「即位礼正殿の儀」のとき、NHKで解説してた人が天皇の歴史を「1200年」と言ったのがとても興味深い(あとから「1000年以上」と言い直してぼかした)。
形式上は神武天皇から数えて約2700年とも言えるけど、それは歴史というより神話に近くなってしまうので、私は「今の天皇家は1500年続いてる」と言っている。これは継体天皇(西暦507年即位)からカウントしている。
NHKで「1200年」と言ったということは、今年は2019年だから2019-1200=819、これは819年より少し前の時代だけど桓武天皇あたりからカウントしていることになる。つまり奈良時代が無視されている。
継体天皇からでなく桓武天皇が起点ということは、天武天皇系の血統を無視しているわけで、「天智・天武他人説」がとられているように思える。正直、マイナーな説のはずなんだが。
天智・天武他人説をとれば、継体天皇の血統は天智天皇とその子・大友皇子(弘文天皇)でいったん断絶したことになり、壬申の乱で勝利した天武天皇が別王朝を樹立する。しかしこの「天武朝」は称徳天皇で断絶し、次の光仁天皇(桓武天皇の父)から、天智天皇系つまり継体天皇の正統が復活する。
だから今の天皇の起点を光仁天皇としても差し支えない。解説者は光仁天皇を起点とした可能性もある。ただ光仁天皇の皇后は天武系の娘なので、天武系が完全に排除されたのは桓武天皇からになる。
天皇そのものの起源はアマテラスであり神武天皇であるにしても、どうもその道の人は、天武系を外したがる気がする。
天武天皇の正体が何者であれ、今の天皇は間違いなくそれ以前の継体天皇の子孫なのだから、私は継体天皇を起点に考えている。けど、他人かどうかはともかく「天武天皇は正統な後継者でなく簒奪者」とするなら、天皇家はいったん断絶して復活していることになる。
たしかに壬申の乱は、天皇の位を武力で簒奪した事件には違いない。しかし、天武天皇が天智天皇の実弟で、天智天皇の息子から奪ったのであれば、天皇の有資格者どうしの争いになるから特に問題はないはず。なのに妙に天武天皇系が外されてる気がするんだよね。
天皇家って秘密とか秘伝の宝庫だろうから、我々が知らない真実がたくさんあるんだろうな。