第一章

2021/03/01 14:30:05

 「えー今日、東京で新たに260人がライムウイルスに感染しました」
 私たち、小桜家は今テレビと睨めっこしている。
 私の名前は小桜理奈。小学6年生。と、私の隣にいるのは私の3つ上の姉、小桜紗奈。私は紗奈姉と呼んでいる。私たちは世界一と言っても過言ではない、仲良し姉妹。
 「紗奈姉、本当に大丈夫なの?原宿なんか行っていいの?」
 私はあきれたような声で紗奈姉に言った。
 紗奈姉は、この間から、友達と原宿に行く約束をしているらしい。
 「大丈夫っしょ!今原宿めっちゃガラガラだし、別にいいでしょ!」
 「紗奈、今の状況を考えなさい」
 と母。
 「お父さんやお母さん、理奈は、お前が感染するのだけが嫌なんだ」
 と、父。
 「お願い!食事をする時は手洗いと消毒もするし、マユや梨花子、周囲の人とも距離をとる。マスクもする。だから、行かせて!」
 紗奈姉が手を組んで言った。
 お母さんは、少し考えるそぶりをした。それから首を縦に振った。
 「やったー!ありがとう!」
 
 こうして、紗奈姉は原宿に行くことになった。
 でも、本当に大丈夫かなあ。
 そして、当日。
 案の定、紗奈姉の服装はキメキメだ。へそ出しのTシャツにショーパン、厚底サンダルにピアスまでつけている。
 そして肝心のマスク。でもそのマスクは白ではなく、黒なところもおしゃれだ。
 あまりにギャルギャルしく、金髪の紗奈姉には似合って、黒髪で大人しい私にはとても似合わない格好だった。
 「そんじゃ、行ってきまーす!」
 「紗奈姉、行ってらっしゃい!」
 この時は、あんな悲しい出来事が起こるとは思ってもいなかったーーー。