episode3-フロマージュ

2020/02/23 03:46:36

 獅恩と春瀬さんが、巨大な学園の中を案内してくれた。冒険みたいで少しわくわくしてしまった。
 キリスト教主義学校のため、美しい講堂や聖堂、小聖堂などがあった。オレンジ色の煉瓦の校舎が映え、名門校ならではの威厳がびりびりと伝わってくる。カフェテラスや購買、風通しの良い教室、吹き抜けの階段、無駄に設備の整っている音楽室や体育館、50000冊以上の蔵書がある図書室があってめちゃくちゃ面白かった。ずっと通ってしまいたくなるような学校だ。
 生徒数は中学、高校合わせて1000人程度だ。大学を合わせればもっといるらしい。みんなお金持ってるんだなあ。親がいれば私も通えたかもだけど・・・。
 だめだめ、こんなことを考えてしまっては。妹と弟のためにも、しっかりしないと。

獅恩「着いたぞ」
 着いたのは瑞牆邸の一室だった。
春瀬「はい、着てみて。ここで待ってるから」
 春瀬さんから制服を渡された。春瀬さんの着ている制服に似ている服だった。
春瀬「それは中等部用の制服よ。夏服や冬服はその時になったら渡すから・・・今はとりあえずそれを着てね」
白「え、でも」
獅恩「早く行ってこい」
 私は部屋に投げ込まれた。
白「これ、どうやって着るの・・・?」

 着方が違うかもしれないけど、とりあえず着れた。
白「かわいい・・・!」
 真っ白なブラウスに紺色のボレロとスカートに青ラインの入った紺のプリーツスカート、黒の紐リボンで胸元を飾り、左胸に十字架のピンズを付けたお洒落な制服だった。
 意外と動きやすかったのでラッキーだ。
 喪服みたいかと思ったけど、髪の毛も白いし、プラマイゼロでいいか。
 ドアを開け、部屋を出た。
白「お、お待たせしました・・・・・・」
獅恩「白!?」
春瀬「かわいい・・・!」
白「え、えへへ・・・」
獅恩「やっぱピューパ用の制服作ってよかったな」
春瀬「映えるわね~」
白「あ、これピューパ用の制服なんですか?」
獅恩「そうだ。この学園はピューパと人間が共存しているからな」
春瀬「そろそろコーラ・・・」
白「!?」
 獅恩が突然春瀬さんの口を塞いだ。コーラ?
獅恩「なんでもないよ~・・・白~ははは」
白「瑞牆さん・・・・・・」
春瀬「んぬー!!むむむーーーーーー!!!!!」
 騒がしい人たちだなあ。

 月が昇り街を照らす真夜中、その男は巨大な建物の前にいた。
 静寂の中にパソコンのキーボードを打つ音だけが鳴り響く。
 カタカタカタ...
「白・・・ここにいたんだね・・・待っててね、俺の白・・・。必ず救い出してあげる・・・」
 男は左眼から涙を流し、それを指ではたいて走り出した。